小笠原に生息するヒヨドリの起源が明らかに
―北部と南部で祖先の“出生地”が全く違う
:森林総合研究所(2016年4月7日発表)

 (国)森林総合研究所は4月7日、世界自然遺産・小笠原諸島(東京都)に生息する2つのヒヨドリ集団の祖先が全く異なる地域を起源としていたことが分かったと発表した。

 小笠原諸島に生息するヒヨドリは、オガサワラヒヨドリと、ハシブトヒヨドリ。その祖先のいわば“出生地”が違っていたことが今回分かったもの。

 本州の南約1,000kmに位置する小笠原諸島は、北部の「小笠原群島」と南部の「火山列島」で構成されている。小笠原群島が4,000万年以上前にできた古い島々なのに対し、火山列島はできて数十万年しかたっていない。

 両地域は、最も近いところだと約160kmしか離れておらず、ヒヨドリなら行き来が無理でないと見られる距離だが、北部の小笠原群島に生息するのがオガサワラヒヨドリなのに対し南の火山列島にいるのはハシブトヒヨドリとはっきり“住み分け”がされている。

 今回の研究は、環境省の許可を得て両ヒヨドリを捕獲してDNA(デオキシリボ核酸)の分析を行い遺伝的に比較する方法をとって行われた。

 その結果、小笠原群島のオガサワラヒヨドリは沖縄県南部の八重山諸島、また火山列島のハシブトヒヨドリは本州や伊豆諸島がそれぞれ起源であることが分かった。

 今回の結果から森林総研は、「小笠原群島の集団も火山列島の集団も島に定着した後で移動性を低下させ、交流のない独立した集団になった」と結論している。

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