免震部材の多数回繰り返し特性に関する研究成果
―免震建築物の地震応答評価の向上に向け
:建築研究所(2016年4月4日発表)

 (国)建築研究所は4月4日、建築研究資料「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」をまとめ、ウェブサイトに掲載したと発表した。

 南海トラフを震源域とする巨大地震が起きると、東京、名古屋、大阪などの大規模堆積平野では長周期地震動が強く励起され、固有周期の長い免震建築物などに大きな影響が出るのではないかと指摘されている。

 この影響の評価には、大振幅で多数回繰り返し加振される外力下での免震部材の繰り返し特性や限界性能の把握が必要とされるが、これらに関する知見は必ずしも十分蓄積されているとは言えなかった。

 そこで、建築研究所は関連諸機関と共同で、平成21年度から4年間かけ、国土交通省の建築基準整備促進事業として、免震部材の多数回繰り返し動的実験を実施し、それらの結果に基づき長周期地震動に対する免震建築物の地震応答性状などについて調査した。

 免震建築物の免震層には主に支承材(アイソレータ)と減衰材(ダンパー)が用いられるが、この事業では、支承材として天然ゴム系積層ゴム、鉛プラグ入り積層ゴム、高減衰積層ゴム、弾性すべり支承を、また減衰材としては鉛ダンパー、鋼材ダンパー、粘性ダンパー、オイルダンパーを対象に、これらの多数回繰り返し特性を実大実験を含む動的実験により調査した。

 今回公表したのはこうした実験などに基づく調査・研究結果の資料。建築研では、免震建築物の構造設計者や免震材料メーカーの技術者、耐震安全性の性能評価機関等においてこの資料が活用され、信頼性と構造安全性の向上に役立つことを期待している。

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