西之島のマグマの成因を初めて解明
―噴火の謎を解くための一助に
:国立科学博物館(2016年4月4日発表)

 (独)国立科学博物館は4月4日、噴火が続く西之島(東京都小笠原村)のマグマの成因を初めて解明したと発表した。

 地球は、十数枚のプレートと呼ばれる巨大な岩板でできていて、日本は太平洋プレート、フィリピン海プレートなど4枚のプレートの上にある。

 マグマは、そのプレート深部の高温のマントルが上昇してできた高温の溶けた液状の岩体のこと。

 今回の研究は、2013年11月から2年以上活発に噴火を続けてきた西之島火山の火山灰について化学分析を行い、太平洋プレートと一緒に沈み込んだ海山が西之島の地下深部でマグマとどのように関係しているかを明らかにしようと行ったもの。

 西之島は、東京の南約1,000kmに位置する海底火山の活動でできた小笠原諸島の無人島で、2013年に発生した最初の噴火から活発にマグマを噴出し、2年間で島の面積が13培にまで成長している。

 研究では、2014年6月3日、この絶海の孤島・西之島から火山灰0.18gを採取、最新の分析技術を使って化学分析を行っているが、38種類の元素を検出、さらに精密な含有量測定と火山灰に含まれる鉱物の判定に成功し、鉱物に含まれる鉄やマグネシウムの比率などから西之島の地下3〜6kmに970〜990℃のマグマ溜まりが存在することを見つけた。

 国立科学博物館には、西之島の1702年以前に噴火した溶岩や、1973年の火山噴出物が管理・保管されている。それらと今回採取した2014年の噴出物の化学組成を比較したところ、新しい噴出物ほど海山由来の成分が増えていることが判明した。

 さらに、太平洋プレートと一緒に西之島の地下深部に沈み込んだ海山の一部が溶けて噴火のマグマの中に入ってきていることが地球化学データから明らかになったという。

 こうした結果から太平洋プレートと一緒に沈み込んだ海山が西之島の地下深部でマグマの発生に関与していることが初めて解明できたとしている。 

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