国土交通省の国土技術政策総合研究所は2月12日、下水バイオガス中の二酸化炭素(CO2)と下水脱水分離液を活用して、栄養補助食品や家畜・養殖魚の飼料などに利用する微細藻類のユーグレナを製造する実証施設が佐賀市西与賀町の佐賀市下水浄化センターに完成、稼働を始めると発表した。
下水処理場では、下水バイオガスと呼ばれるメタンとCO2が主成分のガスが発生する。その約3割は余剰ガスとして焼却処分されている。国交省では、下水バイオガスなど下水道での新技術の研究開発、実用化などを進める「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェジュト)」の一環として、さまざまな実用技術の開発を進めている。ユーグレナに関しては、(株)東芝、(株)ユーグレナ、日環特殊(株)、(株)日水コン、日本下水道事業団、佐賀市からなる共同研究体に研究を委託、微細藻類ユーグレナの生産・実証施設建設に取り組んできた。
完成した施設は、下水バイオガスからCO2を分離・回収し、このCO2と下水汚泥の処理過程で出る、窒素やリンなど高濃度の栄養塩類を含む分離液を用いでユーグレナの培養を行う。実証研究では、▽CO2の分離・回収▽ユーグレナの生産性能▽脱水分離液の栄養塩類の除去性能▽事業性―などを検証する。