(国)森林総合研究所は、5月11、13日、同研究所の2人の研究員が日本生態学会の「第8回(2015年)日本生態学会大島賞」と、森林計画学会の「森林計画学賞」をそれぞれ受賞したと発表した。
受賞したのは、北海道支所の韓慶民氏と、森林管理研究領域の細田和男氏。韓氏の「第8回日本生態学会大島賞」受賞は、「野外における生理生態学的データの長期観測及び分析により植物の生態生理学の発展に大きく貢献してきた」ことが認められたもの。
樹木の豊作年は、数年に1度ということから、そのメカニズム解明には長期にわたる観測がいる。韓氏は、ブナ林を対象に資源量を10年にわたって測定し、種子生産には貯蔵炭素はほとんど使われていないことを実証。豊作、凶作には炭素でなく窒素の影響が強い可能性を示した。
細田氏の「森林計画学賞」受賞は、同氏の論文「標準地法における調査区の大きさと形状の再検討」(日本森林学会誌、94巻3号)が評価された。
隣接する森林とは明らかに区別がつくひとまとまりの森林のことを「林分(りんぶん)」という。細田氏は、林分全体の本数密度と面積や形状から、幹材積(かんざいせき)と呼ばれる木材の幹の体積や、本数の変動係数を推定するモデルを作成した。