国土交通省の国土地理院は5月8日、ネパールで発生した地震と、箱根山(神奈川)で続いている火山活動のそれぞれの地殻変動を地球観測技術衛星「だいち2号」の観測データを利用して検出することに成功したと発表した。
「だいち2号」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2014年5月24日に「H-ⅡA」ロケットで打ち上げた衛星。今回のネパールと箱根山の両地殻変動検出は、同衛星に搭載する合成開口レーダー(PALSAR-2)の観測データを使って行ったもの。
合成開口レーダーは、マイクロ波を地表に向けて発射しその反射波を受信して画像を得るというレーダーで、高解像度の地形画像を天候に左右されずに作り出すことができる。
今年4月25日に発生したネパールの地震の地殻変動は、「だいち2号」の合成開口レーダーで捉えた5月3日までの同地震の観測データを解析して得られた。
発表によると、今回の地震で10cm以上の地殻変動が見られる領域がネパールの首都・カトマンズの北方を中心として、東西160km程度、南北120km程度の範囲に広がっており、変動域の南部は隆起、北部は沈降していることが分かったという。
また、カトマンズの北方から約30km東方にかけての領域が最も地殻変動が大きく、最大で1.2m以上変位していることが判明、「地震に伴い大きく隆起したと考えられる」という。
一方、箱根山の地殻変動は、2014年10月9日11時43分と、2015年5月7日11時43分の2回の観測データの解析から得たもので、「大涌谷内の直径200m程度の非常に狭い範囲で最大6cm程度の地殻変動が見られた」とし、「地下の浅い所での膨張をとらえている可能性がある」と推定している。