カワヒバリガイ、4年後は霞ヶ浦湖岸全域へ
―2005年に霞ヶ浦で生息の報告、2012年には8割超す地点に
:農業環境技術研究所/東邦大学

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上は、霞ヶ浦湖岸に生息するカワヒバリガイ、下は、霞ヶ浦湖岸のカワヒバリガイの分布 (左:2006年、右:2012年)。赤い円の大きさは、1人の調査員が10分間に採集した個体数。2006年には湖岸の45.6%、2012年には湖岸の83.2%でカワヒバリガイの生息が確認された(提供:農業環境技術研究所)

 (独)農業環境技術研究所(農環研)は1月16日、東邦大学と共同で2012年に行った霞ヶ浦での特定外来生物カワヒバリガイの分布調査の結果、2018年までには霞ヶ浦の湖岸全域に定着している可能性が非常に高いことが分かったと発表した。この結果は、一部地域で既に用水パイプの閉鎖等の被害が出るなどしているカワヒバリガイに対する対策を考える上での重要な基礎情報といえる。

 

■2007年に特定外来生物に指定

 

 茨城県の霞ヶ浦は、わが国で2番目に大きな湖で関東の重要水源の一つ。カワヒバリガイは、成長するとパイプなどに集団固着、農業用水の通水障害や悪臭などの被害を及ぼす。カワヒバリガイの生息が霞ヶ浦で初めて報告されたのは2005年で、2006年の調査では霞ヶ浦湖岸のほぼ半分の地域で生息が確認された。カワヒバリガイの原産は中国南部で大きさ3cmほどになる淡水生の付着性2枚貝である。
 日本での生息は1990年に岐阜県揖斐川下流で初めて確認され、2007年に特定外来生物に指定された。農環研は霞ヶ浦でのカワヒバリガイの生息確認直後から、霞ヶ浦での状況把握に取り組んできたが、今回は東邦大学理学部と組んで2012年5~6月に同湖岸全域でカワヒバリガイの生息状況調査を行った。その結果、調査した125地点のうち、104地点(83.2%)でカワヒバリガイが見つかり、2006年の調査結果と比べると、10分間の採取個体数の平均値は3.8倍も増加していた。
 また、2006年と2012年の調査で得た分布データを整理した結果、霞ヶ浦ではこの6年間に約10km離れた地点まで生息分布が拡大していることが判明。この生息拡大距離推定値を基に計算すると、2012年の調査での「未生息地」に2018年には99%以上の確率でカワヒバリガイが新たに定着しているとの結果が出た。霞ヶ浦の湖内全般にカワヒバリガイの生息は急速に拡大・増加している。

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