ブタの体外受精胚の完全合成保存液を開発
:動物衛生研究所/機能性ペプチド研究所

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の動物衛生研究所は6月18日、(株)機能性ペプチド研究所(山形・東根市)と共同で、豚の対外受精胚を超低温で保存するための「完全合成ガラス化保存液キット」を開発したと発表した。
 養豚の分野では、胚移植で子ブタを増やしていくシステムが注目されている。新開発の保存液は、ブタの精子と卵子を体外受精させて作ったブタ体外受精胚を超低温で保存しておくための薬品。ブタ体外受精胚用の完全合成ガラス化保存液が開発されたのは、国内で初めて。
 体外受精胚をエチレングリコールなどが含まれる薬品で処理して液体窒素(マイナス196℃)中で超低温状態を保つと、胚を凍らせずに固化(ガラス化)して長期にわたって保存でき、いつでも雌ブタに移植して受胎させることができるようになる。
 しかし、そのガラス化には、疾病の危険性がある血清などの生体成分の添加が必要という問題が残されていた。
 新開発のガラス化保存液は、その名の通り、生体成分を全く含まないのが特徴。これにより、受精卵移植を介した病気の伝染リスクの低減や生産コストの低減につなげることができるとしている。
 動物衛生研と機能性ペプチド研の共同研究チームは、ブタ体外受精胚をこの完全合成ガラス化保存液キットで処理して液体窒素中で超低温保存し、6頭の雌ブタの子宮に移植したところ、4頭が妊娠し、その4頭から18頭の子豚を得ることができたという。

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新開発の完全合成ガラス化保存液キット(提供:動物衛生研究所)