(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と(独)情報通信研究機構(NICT) は3月5日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」に取り付けた地球大気観測センサー「SMILES(スマイルズ)」で得た観測データの一般利用者向け公開を開始したと発表した。
JAXAとNICTが共同で開発したSMILESは、極低温に冷却した超電導検出器により、大気微量分子の放出する微弱なサブミリ波を計測する地球大気観測センサー。
この地球大気観測センサーは、超電導検出器を使っていない既存の衛星観測センサーより一桁以上高い観測性能を実現、従来測定が困難とされていた分子種の精密な観測を可能にした。平成21年9月に「きぼう」の船外実験プラットフォームに設置され、平成22年4月に装置内部の発振機が故障するまで、約6カ月間にわたって地球大気の観測を行い、データを取得した。
しかし、これまでは、公募で選んだ研究グループにしか観測データの提供を行っていなかった。
今回、データの観測精度の高さが確認できたことから一般利用者への観測データの公開を開始したもの。
一般公開したデータは、SMILESで観測した625~650GHz(ギガヘルツ、1GHzは10億Hz)の電磁波強度を解析することによって得た地球大気のオゾンや塩素化合物など合計11種類の大気微量分子の高度分布。このデータは、成層圏や下部中間圏における大気微量分子の化学的現象を精密に測定したもので、成層圏オゾンの変動や地球温暖化など気候変動の解明に貢献すると期待されている。
SMILESのデータ公開サイトは、http://smiles.isas.jaxa.jp/access/indexi.shtml。
データのダウンロードには、ユーザー登録が必要で、名前・所属・利用目的(100字程度)を記載した電子メールを、Data-release@smiles.tksc.jaxa.jpへ。
No.2012-10
2012年3月5日~2012年3月11日