飼料用トウモロコシへの放射性セシウムの移行を抑制
:畜産草地研究所

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所は3月7日、飼料用トウモロコシの栽培に堆肥を継続的に用いると、土壌中からトウモロコシへの放射性セシウムの移行が抑えられることが判明したと発表した。施肥基準で推奨されている量を毎年施用すると、施用しない場合に比べセシウム濃度が40%程度減るという。
 平成23年産の作物のモニタリング調査によると、飼料用トウモロコシの放射性セシウム濃度は牧草よりも低い傾向が認められ、飼料用トウモロコシは土壌からの放射性セシウムの移行の少ない作物として期待が高まっている。
 一方、ソ連のチェルノブイリ原発事故以降、カリ肥料の投入(施用)や深耕が土壌から農作物への放射性セシウムの移行抑制に有効なことが報告されている。
 そこで、畜産草地研は、放射性セシウム濃度の低い栽培法を探るため、堆肥やカリ肥料の施用、耕作の仕方が放射性セシウム濃度に及ぼす影響を調査した。
 その結果、オガクズ、モミガラを含む牛ふん堆肥を1作につき10アール(1アールは100㎡)当たり3t程度(施肥基準等で推奨されている施用量)連年施用すると、施用しない場合に比べ、土壌から作物への放射性セシウムの移行が抑制される効果があった。化学肥料のカリ(K2O)を施用しなくても、放射性セシウム濃度は40%程度低減することが認められた。
 また、堆肥を施用しないと、土壌の交換性カリ(土壌溶液中に溶出し作物に吸収されやすいカリウム)含量が低くなり、トウモロコシへの放射性セシウムの移行が増大することが認められた。堆肥施用による放射性セシウムの移行抑制効果の多くの部分は、土壌における交換性カリ含量の増大によると考えられるという。

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