カドミウムをほとんど含まない「コシヒカリ」を開発
:農業環境技術研究所/東京大学/日本原子力研究開発機構

 (独)農業環境技術研究所は3月7日、東京大学、(独)日本原子力研究開発機構と共同で、日本の米の基幹品種である「コシヒカリ」にイオンビームを照射してカドミウムをほとんど含まない突然変異体を開発することに成功したと発表した。
 イネのカドミウム吸収は、品種によって大きく異なる。このため、カドミウム含有量が少なく味の良い米がとれるイネの開発がいろいろ試みられてきたが、コシヒカリ並みの食味や栽培適性を持つ品種の開発には未だ至っていない。
 農環研を中心とする研究グループは、花などの品種改良によく利用されているイオンビームに着目、高崎市(群馬)にある日本原子力研究開発機構のサイクロトロン(加速器)で加速した炭素イオンをコシヒカリの種子に照射。照射種子を栽培して得た第2世代の種子約3,000粒をカドミウム濃度が高い土壌で育て、その中からカドミウムをほとんど含まないコシヒカリを得たもの。
 このコシヒカリの突然変異体を通常のコシヒカリと共に土壌中のカドミウム濃度が高い3カ所のほ場で栽培したところ、得られる玄米中のカドミウムが通常のコシヒカリの約30分の1から同90分の1になることが確認できたという。
 農環研では「イネわらのカドミウム濃度も低く、飼料用の低カドミウムイネの開発も期待できる」といっている。

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右が新開発の低カドミウムコシヒカリ。左は、従来のコシヒカリ(提供:農業環境技術研究所)