(独)農業生物資源研究所は8月9日、岡山大学、日立公共システムエンジニアリング(株)と共同で、オオムギの遺伝子24,783個の塩基配列を決定したと発表した。
作物の品種改良では、ゲノム情報(全塩基配列)や遺伝子情報(塩基配列や機能)が重要な役割を果たす。イネやコムギ、トウモロコシのゲノム情報や遺伝子情報は、すでに明らかにされているが、主要穀物の一つであるオオムギについては、そのゲノムがイネの約13倍という大きなサイズを持つことから、これまで研究は進んでいなかった。
今回の研究では、オオムギの品種「はるな二条」を様々な条件で栽培し、17万個以上のcDNA(相補的デオキシリボ核酸)を収集した。その中から重複しているものを除いた24,783個を選抜し、その塩基配列を解読、決定した。
様々な生物の遺伝子情報を収集したデータベースと照合することにより、塩基配列を決定したオオムギ遺伝子のうち85%について、その機能を推定することができた。これらの結果は、データベース 「The barley full length cDNA database」 (http://barleyflc.dna.affrc.go.jp/hvdb/index.html)として公開した。
また、得られたオオムギの遺伝子情報と、既に公開されているイネ、トウモロコシ、ソルガム、ミナトカモジグサ(野生のイネ科植物)などの遺伝子情報とを比較したところ、オオムギの87%の遺伝子がそれら4つの作物種と共通であった。
一方、オオムギ独自の特徴を決定していると予想される遺伝子も1,699個発見した。
ムギ類の間では、ゲノムや遺伝子情報の共通性が高いと考えられている。このため、今回の研究によるオオムギの遺伝子情報は、オオムギのみならず、ムギ類全般の品種改良に活用できると期待されている。
No.2011-32
2011年8月8日~2011年8月14日