国立環境研究所と名古屋大学は4月14日、筑波大学、北海道大学、福島大学、岐阜大学、米国航空宇宙局(NASA)と共同で、衛星観測データを複合利用して陸域の炭素収支量を推定する新手法を開発、これを用いて土壌を含む日本の自然生態系の炭素収支量を解像度1kmで推定するのに成功したと発表した。地理情報システムと組み合わせることで、地域ごとの炭素収支量の特徴や、気象や土地利用による変化の関係が明らかにできるものと期待されている。
陸域での正確な炭素収支量は、地球温暖化の実態解明に不可欠とされているが、陸域は海域に比べて収支量の不確定性が大きい。海とは違って、地表は地域によって生態系の機能が大きく異なるからである。それだけに、陸域の炭素収支量算定には高い解像度が求められる。従来は、緯度・経度1度から精々数km程度の編み目(メッシュ)で計算されていたが、2000年以降、空間分解能が1kmほどの地球観測衛星観測データの入手が可能になってきた。
そこで、環境研や名大などの研究グループは、極東アジアの陸域の生態系が、何時、何処で、どの位の炭素を吸収あるいは放出しているかを明らかにするため、独自の衛星データ処理と、それを複合利用する炭素収支計算の新手法を開発、自然生態系の炭素収支量を解像度1kmで推定できるようにした。地表面の気象変化、植生や土壌のタイプの違い、水・エネルギー収支との相互作用など、多くの衛星観測データを取り込んで解析する。その評価のため、研究陣は、環境研が扱う観測ネットワークで長期連続観測された国内外6カ所のデータを用いて4項目についてチェックしてみた。
たとえば、緯度・経度1度の網の目で計算された炭素収支量と比較すると、植生の光合成活動による炭素収支量(総一次生産量)、その値から植生の呼吸による炭素放出量と土壌微生物活動による放出量を引いた自然生態系の炭素収支量(純生態系生産量)のどちらにも誤差が生じることが判明。研究グループは、日本の様な複雑な地形・被覆を持つ地域での炭素収支解析には新手法の様に少なくとも1km程度の解像度が必要としている。
No.2011-15
2011年4月11日~2011年4月17日



