深海探査機で撮った海中映像を人工衛星「きずな」使い筑波に伝送:宇宙航空研究開発機構/海洋研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と(独)海洋研究開発機構は10月17日、深海生物追跡調査ロボット「PICASSO(ピカソ)」が撮影した海中のハイビジョン映像を高度約36,000kmの静止軌道を回る超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」経由でリアルタイム(実時間)でJAXA筑波宇宙センター(茨城・つくば市)に送り、大型モニターに映し出す伝送実験を行い、同センターを訪れた一般見学者にその映像を公開した。
 この海中映像伝送実験は、両機構の共同研究プロジェクト「WIDSを利用した深海探査機映像の伝送実験」の一環として実施したもので、東京大学が協力した。
 実験は、可搬型地球局(小型アンテナ)と、「ピカソ」を搭載した海洋機構の学術研究船「白鳳丸」を神奈川県・三浦半島沖に配置。海中に下ろした「ピカソ」が撮影した深海生物のハイビジョン映像と標準画質映像をケーブルで洋上の「白鳳丸」に送り、その映像を搭載している小型アンテナを使って「きずな」に向けて送信、それを「きずな」が受け、筑波宇宙センターの大型モニターに映し出すという方式で行われた。
 伝送実験は成功し、洋上の船舶から海中のハイビジョン映像などを「きずな」によってリアルタイムに安定して中継できることを実証した。
 「きずな」は、政府IT戦略本部の「e-Japan重点計画」に基づいて「“いつでも、どこでも、誰でも”必要な情報が得られるインターネット社会」の実現を目標に、2008年2月23日に「H-2A」ロケットで打ち上げた衛星で、一般家庭でも直径45cm程度の超小型アンテナを設置するだけで高速双方向通信が行えるようにすることを目指している。

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