地震の揺れの大きさを観測情報から計算し図示するシステムを開発:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は10月13日、同研究所が持つ全国の地盤の揺れ易さデータと(独)防災科学技術研究所(防災科研)が公開する地震観測記録をコンピューターで高速処理し、縦横250mの網の目ごとに地震の揺れの大きさを計算して図示する「地震動マップの即時推定システム(QuiQuake)」を開発、その一部を「QuakeMap」の名称で同日からインターネットで一般公開したと発表した。これにより、地震計のない場所での震度も計算で推定できるようになった。
 現在、地震の揺れは、全国約4,200地点の地震計が示す震度として公開されているが、地震の揺れは地質や地形で異なり、地震計のない地点の揺れは近接地の地震計による震度とは必ずしも同じではない。このため、観光地などでは、いわゆる風評被害の問題も生じる。こうしたことが起きないようにするには地震後、できるだけ早く均一精度で示した広範囲な区域の地震の揺れマップ公開が望ましい。そこで今度のシステムが開発された。
 まず、広い地域の地盤の揺れ易さに関するデータを整備するため、同研究所は防災科研、関東学院大学と協力して縦横250mメッシュの地形・地盤分類マップ全国版を整備、この地形区分に基づく地盤の揺れ易さを示すデータを作った。この面的な揺れ易さのデータを使うことで、地震計がない地域での地震動も、公表された情報から一定の方式で計算すれば推測できるようになった。
 同研究所では、防災科研が公開する地震観測記録を使って計算、種々の補正を行なって「QuakeMap」として図示している。
 同研究所は、2010年度中にシステム全体を完成させ、地震発生直後から任意の地域の地震の揺れが誰でも簡単に得られるような機能向上を目指している。
 「QuakeMap」(http://qq.ghz.geogrid.org/)には、システムの実証を兼ねて約5,000個の1966年からの主な地震約の計測震度分布の計算結果なども公開している。システム全体が完成すれば自治体や企業の事業継続計画や災害対応の基盤情報として活用が期待される。

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