撥水性のプラスチック表面を成形だけで親水性に
:産業技術総合研究所/ハウステック

 (独)産業技術総合研究所は10月13日、(株)ハウステックとの共同で、撥水性のプラスチック表面を親水性に変える親水化技術を開発したと発表した。
 同研究所の大面積ナノ構造体作製技術・転写技術と、ハウステックの親水基材応用技術・評価技術を融合させて実現した。
 nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)サイズの凹凸形状を表面につけた「大面積ナノ構造体金型」と呼ばれる特殊な金型を光ディスク製造装置を応用したナノ加工装置で作製し、金型からの転写成形によって、プラスチック板の表面にナノ構造体を形成して撥水性のプラスチックを親水性に変えるというもの。
 転写プロセスだけでプラスチック板を親水性にできるため、大面積化が可能で、短時間の製造サイクルで撥水性プラスチックの表面を親水化できる。同研究所の装置の場合でプラスチック板1枚を20秒で処理している。
  この新技術により、親水コートなどの処理が必要であった親水部材の生産工程が省略でき、親水性基材などのより一層の低価格化・高機能化が図れる。
 また、従来の親水化技術より親水維持性が高く、たとえば浴室などの鏡に用いた場合は曇り防止効果、太陽電池のパネルに適用した場合には発電効率の向上と防汚効果が見込まれるという。
 従来の親水剤などを塗布する方法に比べ、ナノ構造体を利用するため、耐薬品性や耐剥離性にも優れ、これまで使用が難しかった環境下での利用、DNA(デオキシリボ核酸)アレイなどのバイオテンプレートやフレキシブルディスプレーなどへの適用も期待される。

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ナノ構造体が転写され親水性になったプラスチック(提供:産業技術総合研究所)