通電により透明度が変わる「調光ガラス」の開発に成功
:産業技術総合研究所/山形大学ほか

 (独)産業技術総合研究所は8月8日、山形大学、北陸先端科学技術大学院大学、東京農工大学と共同で、プルシアンブルーという錯体の顔料をナノ粒子化し分散させた着色インクを開発、これを利用して、通電すると透明度が変化し色が変わって見える「調光ガラス」を作製したと発表した。製法が簡便で安価に製造でき、この調光ガラスを建築物や自動車の窓に使えば、室内に入る光を調節することができ、省エネルギー効果が期待できる。
 プルシアンブルーは、江戸時代の画家・葛飾北斎も使ったとされる顔料で、含まれる鉄の一部を他の金属に置換することで、多様な色を作れる。たとえば、ニッケルなら黄色、コバルトなら赤になる。
 研究グループは、プルシアンブルーを10~20nm(ナノメートル=1nmは10億分の1m)ほどの粒子にし、表面を被服する材料を添加して溶媒に分散させ、インク化することに成功した。
 このインクを塗布した透明基板2枚のすき間に電解液を閉じ込めた調光ガラスは、1.5V乾電池の通電で、10秒以内に青から無色透明に色が変わる。
 通電は、変色の際に必要なだけで、変色してしまえば、通電を止めても、状態は保持される。逆の電圧をかけると、逆の色変化を示し、1万回以上の着色・消色を繰り返しても、劣化は見られなかった。
 今後は、さらに多様な色や柄を実現し、安定的に動作させるための要素技術の研究開発を続け、近い将来のサンプル出荷を目指したいとしている

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消色した状態(上)と、着色した状態(下)(提供:産業技術総合研究所)