Wi-Fi搭載の救難用ドローン開発
(2026年2月01日)
ソフトバンク株式会社と東京科学大学工学院 電気電子系 藤井 輝也 研究室は、雪山・登山・災害などによる遭難者の救助に役立つWi-Fi搭載の救難用ドローンの開発に成功しました。研究グループは、ドローンに携帯電話の基地局機能を搭載した「ドローン携帯無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム」の開発を、かねてから進めてきました。この空飛ぶ携帯基地局は広範囲をカバーできるメリットがありますが、無線局の設置許可が必要であり、また基地局が対応しているキャリアの携帯電話しか使えないという課題がありました。
そこで、ドローンに2.4GHz帯のWi-Fi基地局を搭載した「ドローンWi-Fi無線中継システムを用いた遭難者捜索支援システム」が開発されました。ただ、Wi-Fiにも課題があります。それは、電波の届く範囲が狭いということです。研究グループは、この課題を利得(感度)の高い指向性アンテナを採用することで解決し、3~4kmという広範囲における通信を実現しました。これによって、従来よりも広いエリアでの捜索が可能になりました。またこのシステムでは、スマートフォンなどに搭載されたGNSS(全球測位衛星システム)によって、遭難者の位置も正確に把握できます。
さらに、低軌道衛星(LEO)を利用したWi-Fi局を介してインターネット接続ができるバックボーンも可能にしたといいます。この機能によって、静止軌道上の通信衛星に接続する場合のような大がかりな装置が不要になりました。
このシステムには、もう一つ特長があります。それは、ドローンにマイクとスピーカーが搭載されていることです。これによって、上空から遭難者に問いかけを行うことができ、また遭難者からの救助要請を肉声で聞くことができるため、捜索救難活動をスムーズに進めることができます。しかも、マイクとケーブルは最大80m降下させることができるといいます。これによって、ドローンのプロペラの回転音に邪魔されることなく、遭難者の声をとらえることができます。
ドローンの操縦は目的や状況にあわせて、目視による手動操縦と遠隔操縦を切り替えができるほか、自律飛行と手動操縦の切り替えもできます。ドローンの飛行可能時間は約15分と短いものの、半径数kmを捜索するには十分な性能といえます。
なお、このシステムを利用するには、スマートフォンに専用のアプリを入れておく必要があります。
このシステムによって、遭難者がインターネットを通じて救助要請を行うことができ、捜索機関は遭難者の位置情報を確認できるので、捜索救難がスピーディーになります。雪山や山岳での遭難や自然災害が多い我が国において、非常に有用なシステムといえるでしょう。

【参考】
■ソフトバンク株式会社プレスリリース
「ドローンWi-Fi無線中継システムを用いた遭難者捜索支援システム」を開発

サイエンスライター・白鳥 敬(しらとり けい)
1953年生まれ。科学技術分野のライター。月刊「子供の科学」等に毎号執筆。
科学者と文系の普通の人たちをつなぐ仕事をしたいと考えています。

