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乳頭内乳管をCTで可視化―乳がん温存手術のリスク低減も:名古屋大学/高エネルギー加速器研究機構

(2019年2月20日発表)

 名古屋大学と高エネルギー加速器研究機構は2月20日、乳房の先端にある乳頭内部の立体構造を可視化することに成功、乳頭内部の乳管の数や配置などで3タイプに分類できることが分かったと発表した。乳がんの予防・治療では乳房の外観を維持するために乳頭などを残す温存手術が行われているが、可視化できたことで手術後の再発リスク低減に役立つという。

 名大大学院医学系研究科の砂口尚輝准教授、北海道大学の島雄大介教授、名古屋医療センターの市原周 元研究室長らの研究グループが、高強度の特別なX線を利用できる高エネ研と共同で明らかにした。

 今回の研究では、乳がん手術で全摘された51症例の乳頭をX線暗視野法と呼ばれる手法を用いて組織内部を立体的にとらえるCT画像を撮影。乳頭内の乳管数と乳管の立体的な配置、乳汁が出る乳頭先端部の開口数を詳しく調べた。その結果、51症例は大きく3つのタイプに分かれることを突き止めた。また、9症例には乳頭内のがんがあり、このうち6症例は非浸潤性の乳管がんであることが分かった。

 乳房には乳頭を中心に乳腺葉という組織があり、それらが放射状にブドウの房のようにいくつもつながっている。スウェーデンの病理学者T.トットは、乳がんは基本的に一つの乳腺葉を侵す病気であるという理論を提唱しているが、今回の6症例もこの理論通り一つの乳腺葉で発生したものであることが明らかになったという。