(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と(独)国立環境研究所は9月14日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」搭載の温室効果ガス観測センサーが捉えたデータから作成したCO2(二酸化炭素)濃度の全球分布図を発表した。 「いぶき」は、今年の1月23日にJAXAの種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から「H-ⅡA」ロケットで打ち上げた重さ1,750kg(打ち上げ時)の衛星。地球温暖化をもたらす大気中のCO2の濃度分布を高精度で宇宙空間から観測する機能を持ち、地球の周りを約667kmの高度を保って約1時間40分で一周している。 発表した全球分布図は、地球全域の陸上と海上の「CO2カラム平均濃度」と呼ばれる濃度分布を示したもの。 CO2カラム平均濃度とは、地表面だけでなく、上空の大気上端までの鉛直の柱(カラム)の中にある空気全量に含まれているCO2の平均濃度のこと。公開されたのは、今年の8月1日から31日までの1月間の晴天時のCO2カラム平均濃度。右の図は、その一枚。南半球より北半球の高緯度領域のCO2濃度が低いという傾向は、8月は北半球が夏であるため、南半球より北半球での植生の光合成が活発であることによるもので、「従来の地上観測による結果と概ね整合している」とJAXAはいっている。 今後は、まだ終わっていない検証作業を進め、信頼性を評価し、その結果をふまえて観測データを再解析する予定で、平成22年2月上旬からCO2とメタンのカラム平均濃度を雲の情報と共に、登録した一般ユーザーに配布する計画という。 詳しくはこちら |  |
「いぶき」の観測データから得たCO2カラム平均濃度の全球分布図(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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