LNGロケットエンジン開発の技術的見通し得たことを宇宙開発委に報告:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月25日、開発中の「LNG(液化天然ガス)ロケットエンジン」実機型の500秒連続燃焼試験などの結果概要と、技術評価委員会の中間評価に基づくLNGロケットエンジンの技術的見通しを同日開いた宇宙開発委員会に報告したと発表した。
 報告は「改善事項はあるものの、現設計に影響する問題点は見出せず、LNGエンジンの技術的見通しは得られた」としている。
 外部機関の有識者を含むLNGエンジン技術評価委員会は、6月からJAXAの基本設計に基づき試作した実機型LNGロケットエンジンの設計確認のための燃焼試験を対象に、6月から7月初めにかけて行われた実際の飛翔と同等の初の500秒長秒時連続燃焼など3回の燃焼試験から、LNGロケットエンジンの技術的見通しを評価した。
 その結果、エンジンに破損・熔損は認められず、長秒時連続燃焼試験でもエンジンは安定に燃焼しており、燃焼効率は予測の範囲内に収まっていた。燃焼室の接着層の剥離など2つの事項が指摘されたが、原因は推定でき、今後の試験・開発の中で対応・措置が可能としている。
 同委員会としては、更に長秒時試験2回を含めて8回予定(内6回は実施済み)の燃焼試験の結果から、設計に反映すべきデータを取得するとしている。
 海外でもLNGロケットエンジンの開発は、欧米や韓国が進めているが、実際のフライトに近い500秒連続燃焼試験を行なったのは日本が初めて。推力約11tの日本のLNGロケットエンジンは、2002年から官民共同で開発が進められている「GX」中型ロケットの2段目用とされているが、肝心の「GX」の本格的開発着手決定が先送りされているので、国産LNGロケットエンジンの技術的見通しは得られたものの、将来はまだ不透明である。

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