(独) 国立環境研究所と(独)産業技術総合研究所は4月233日、国内の研究機関・大学と共同で、東アジアの森林における二酸化炭素の吸収量観測を数年間にわたって行い、二酸化炭素の吸収量が森林の種類によって異なる季節変化を示すことや、年々の気象変動に大きく影響されていることをつかんだと発表した。国を越える広い緯度帯の多種多様な森林の二酸化炭素吸収量を長期間連続して観測し、総合的な解析を行った例は世界的にもほとんどないという。
将来の気候変動を抑制するために大気中の温室効果ガス濃度を設定するには、森林の果たす役割を正確に知る必要がある。そこで、北東アジアの主要な森林、カラマツ林(ロシア、モンゴル、中国、日本)、温帯の典型的な森林である落葉広葉樹林、混交林、常緑針葉樹林(日本)、東南アジアの乾季と雨季のある熱帯季節林(タイ)、ほぼ一年中降水量の多い熱帯多雨林(マレーシア、インドネシア)の観測を行った。
その観測データを総合的に解析した結果、森林の二酸化炭素吸収量は森林のタイプの違いにより大きく異なる季節変化を示すことが分かった。また、年々の気象の変動にともない二酸化炭素吸収量は大きく変動し、中~高緯度の落葉性の森林では冬から春にかけての気温が展葉時期(葉が伸びる時期)を決め、それが早いか遅いかによって5~6月の光合成量が大きく変動することも判明したという。
今後も、国内外の研究機関と協力してアジアにおける観測を継続し、データを組織的に収集して公開していく予定にしている。