陸域観測技術衛星「だいち」でスマトラ島沖地震の発生メカニズムを解明:国土地理院

 国土交通省国土地理院は2月25日、スマトラ島(インドネシア)西方沖のシムルエ島(同)付近で2月20日に発生したマグニチュード7.5の地震が、2004年と2005年のスマトラ島巨大地震の間にある空白域を埋めるように起こったことを、我が国の陸域観測技術衛星「だいち」(宇宙航空研究開発機構)の合成開口レーダーの干渉解析で明らかにしたと発表した。
 この合成開口レーダーの干渉解析の結果、シムルエ島付近で発生したマグにチュード7.5の地震にともない西南西上空(仰角約42度)の人工衛星の方向に向かって約59cmの地殻変動が観測された。また、断層の形状を長方形と考えてこの地震の震源断層を推定したところ、断層の向きはほぼ北西―南東、大きさは長さ約45km、幅約50kmで、南西から北東に傾き下がる逆断層(傾斜角約4度)と推定された。この上端部の深さは約20kmで、すべり量は約2.6mだった。
 これは、南西側の地塊が北東側の下に沈みこむような断層運動で、南西側のオーストラリアプレートが北東側のスンダプレートの下に沈み込むプレート境界型の地震と考えられる。この断層運動から導かれるモーメント・マグニチュードは約7.5と計算された。 推定された断層パラメータは、米国地質調査所などによる地震観測の結果とも整合している。
 2004年から始まったスマトラ島沖の一連の地震について、スマトラ北部のシムルエ島とスマトラ中部のパダン沖の2箇所に空白域があるとされていた。今回の地震は、このうちのシムルエ島の空白域を埋めるように発生したと考えられる。ちなみに、パダン沖の空白域付近では1979年にマグニチュード8クラスの地震が発生している。

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