スイスの研究所と「核破砕」の研究で協力覚書を締結:J-PARCセンター

 (独)日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構の共同運営組織「J-PARCセンター」は2月21日、スイスのポール・シェラー研究所(PSI)と「核破砕材料技術開発の分野における研究協力覚書」を締結したと発表した。
  両機構は、共同で茨城県東海村に「大強度陽子加速器施設(J-PARC)」の建設を進めている。
 J-PARCは、光速近くまで加速された高エネルギーの陽子(水素イオン)で生み出される大強度量子ビームを基礎研究や産業利用に使う世界レベルの大型研究施設。量子ビームは、陽子を金属などの標的材料に衝突させ、標的の原子核を破砕(核破砕)することで得るが、核破砕により生ずる標的材料の損傷は機器の寿命を左右するためその損傷を正確に評価することが必要になる。
 J-PARCセンターは、これまでもスイスのPSIの核破砕研究施設の陽子ビームを利用して材料の損傷評価技術の研究を行っていたが、研究をさらに進めることで合意したもの。
  具体的には、日本原子力研究開発機構と(株)米倉製作所が共同で開発した微小試験片専用の試験機をPSIに持ち込み、共同で試験を実施する。得られるデータは、J-PARC施設の高出力化に伴う材料寿命を評価する基礎データとなるほか、放射性廃棄物処理・処分の負担軽減に貢献する技術の基礎研究にも利用可能という。

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