(独)産業技術総合研究所は2月21日、東京都立産業技術研究センター(都産技研)、(株)不二越と共同で、ダイヤモンドコーティング金型を用いた潤滑油を使わないマグネシウム合金板材の熱間完全ドライプレス加工技術を開発したと発表した。
マグネシウム合金は、資源量が豊富でリサイクル性に優れ、高強度で軽量なことから、自動車など産業機械分野では鉄鋼やプラスチックに替わる素材として期待されている。しかし、マグネシウム合金は、室温での加工性に乏しく温度を上げて熱間での加工が必要なため、プレス成形には高温に耐える特殊な潤滑油が不可欠であることが問題であった。
産総研では、これまで大気中で燃えにくい難燃性マグネシウム合金を開発し、企業などと連携して実用化につなげる研究を進めてきた。
今回の技術開発は、産総研の難燃性マグネシウム合金の材料技術と都産技研のプレス加工技術、不二越のコーティング技術を融合し、熊本県農業技術センター、鹿児島大学、日本工業大学の協力も得て行われた。新しい技術は、CVD(化学蒸着法)によりダイヤモンドコーティングした金型を用いることで、320ºC程度までの熱間加工でも、潤滑油を用いることなく完全なドライ条件での加工を可能にした。
この技術により、マグネシウム合金板材のプレス加工での潤滑油と、その洗浄処理が不要となり、環境面での問題の解決が可能となった。また、高温での焼き付きがなく、加工製品の表面性状が良好となり、従来の技術に比べ低コストで高い生産性が期待されている。
No.2008-7
2008年2月18日~2008年2月24日