高エネルギー加速器研究機構(KEK)は11月9日、同機構の「電子陽電子衝突型加速器(KEK Bファクトリー)」を使って実験を行っているBelle実験グループが新しい中間子を発見したと発表した。
Belle実験グループ(世界14の国と地域、55研究機関からの約400人の研究者からなる国際共同研究チーム)は、これまでに同加速器を使った実験で生成された約6億6000万個のB中間子と電磁的性質が反対の反B中間子のペアの崩壊を詳しく解析した。その結果、このうち120事例から、B中間子がK中間子と新粒子に崩壊し、さらに新粒子が崩壊して4個のクオーク(物質を構成する基本の素粒子)が結合してできたとみられる新しい複合粒子を見つけた。
「Z(4430)」と名づけられた新粒子は、質量が陽子の約4.7倍で、電荷を持つことが分かった。Z(4430)は、Belle実験グループがこれまでに発見した新粒子が、いずれも電荷が0の中性粒子であったのに対し、電荷を持つ荷電粒子であることが特徴となっている。
また、この粒子は、従来から知られている「中間子は2個のクオークが、陽子は3個のクオークが強い力で結合した状態」などという説明にもあてはまらない新しい粒子として注目されている。
この発見により、クオークの力を研究する理論である量子色力学で、このような現象がなぜおこるのかについての理解が一層進むものと期待されている。
No.2007-44
2007年11月5日~2007年11月11日