(独)産業技術総合研究所と横河電機(株)は11月1日、産総研つくばセンター(茨城・つくば市)にある圧力の国家標準を用いて、遠く離れた場所にある校正用標準器を遠隔で校正する実証実験に成功したと発表した。
従来の校正システムは、重錘形圧力天びんと呼ばれる装置を2台使用する大型で複雑なシステムで、輸送や手続きなどに長い期間(約2ヵ月程度)がかかる上、自動化が難しいなどの課題があった。また、日本企業が海外生産拠点で作った計測機器でも日本向けの製品は、日本の国家基準に照らし合わせて校正することが求められている。
これらの問題を解決するために、産総研と横河電機は、ユビキタス(いつでも、どこでも)で、速く、安く、正確という特徴を備えた圧力(気体差圧)標準の遠隔校正技術の確立を目指し、共同で研究開発を進めてきた。
新しい圧力の遠隔校正方法は、産総研があらかじめ国家標準で校正した遠隔校正用仲介器を、校正サービス提供業者や計測機器メーカーに搬送し、その後産総研がインターネットを介して仲介器と校正する機器を遠隔操作し、2つのデータの差から校正値を求めるというもの。
今年7月にこの校正方法で産総研つくばセンターにある圧力の国家標準で、横河電機の計測標準センター(山梨・甲府市)にある校正用標準器を遠隔校正する実証実験に成功した。続いて今年9月、横河電機の中国にある子会社の重慶河川儀有限公司との間でも実証実験に成功した。
仲介器を利用する遠隔校正技術の実用化に向けて、はずみがついたと見られている。
No.2007-43
2007年10月29日~2007年11月4日