(独)日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構の共同運営組織であるJ-PARCセンターは10月31日、両機構が茨城県東海村に建設中の大強度陽子加速器施設「J-PARC」の3基の加速器の内の第2段加速器のシンクロトロン(円形加速器)で、陽子(水素の原子核)ビームを30億電子ボルト(3GeV)まで加速することに成功、初期性能を達成したと発表した。同月26日には、このシンクロトロンに1段目のリニアック(線形加速器)で加速した陽子ビームを入射、周回させることに成功しており、想定を上回るスピードでの所期性能達成だった。 このシンクロトロンは、1周約360mの加速器で、1段目のリニアックで1億8100万電子ボルト(181MeV)に加速した陽子ビームを3GeVまで加速するのが役割。それを3段目で更にもう1段加速して500億電子ボルト(50GeV=光速の約99.98%のスピード)にまで高める。従来の約2倍の加速性能を実現するため、高周波加速システムに新磁性材料を活用したり、陽子ビームの不安定性抑制のためアルミナセラミックスを材料とする新方式の真空ダクトを用いるなど、最先端の技術が活かされている。 今後、さらにビーム試験を重ねながら、陽子ビーム強度を上げて行く。平成20年春頃には、第3段目加速器の50GeVシンクロトロンに陽子ビームを入射、平成20年度後半から21年度にかけて中性子や中間子、ニュートリノなどを用いた様々な研究を始める予定。 詳しくはこちら |  |
所期性能を達成したシンクロトロンの入射部(提供:J-PARCセンター) |
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