深紫外線を発する六方晶窒化ホウ素を常圧で合成
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は8月17日、深紫外線領域で高輝度に発光する高品質な「六方晶窒化ホウ素(hBN)」を、1気圧の常圧で合成する技術を開発したと発表した。
 結晶の作り方の一つに、溶媒に溶かし込んだ原料を析出させて結晶化する方法がある。食塩水からの食塩結晶の析出はその好例。同機構は,ニッケルなどの合金を高温で液状にし、その中に粉末状のhBNを溶かしゆっくりと冷やしてhBNの結晶を析出させることに成功したもの。基板上にhBN結晶を成長させることもできる。
 波長が350nm(ナノメートル=1nmは10億分の1m)以下の深紫外線は、光記録デバイスや環境汚染物質の分解などへの利用が期待されている。同機構は、新合成法で得たhBN結晶が室温で波長215nmの非常に強い深紫外線を発することを確認している。
 高純度のhBN結晶は、高反応性のバリウム系溶媒を用いた高温高圧合成法(1500~1750℃、4~4.5万気圧)でしかこれまでは得られなかった。その超高圧の壁を1気圧まで下げることに成功したわけで、今後の発展が期待される。
 この研究成果は、8月17日付けの米国の科学誌「サイエンス」に掲載された。

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