シリコン上に世界最高効率の非線形光学デバイスを実現
:物質・材料研究機構/早稲田大学

 (独)物質・材料研究機構と早稲田大学・中島哲幾教授の研究グループは8月17日、シリコン(ケイ素)上に世界最高効率の非線形光学デバイスを作ることに成功、「ハイブリッド・シリコン・フォトニクス(HSP)」に一歩近づいたと発表した。
 エレクトロニクスの分野では、シリコンベースの電子デバイスに光機能を組み込むシリコン・フォトニクス(SP)の研究開発が進んでいる。そのSPにおいて、シリコン単体では達成が難しい機能を他の材料の集積化で実現しようというのがHSPの概念。
 今回の研究は、(独)情報通信研究機構から委託を受けて行ったもので、強誘電体製の導波路をシリコン上に形成し、シリコンでは困難な非線形光学デバイスを作製して波長変換を実現した。使用した波長変換材料は、マグネシウム添加ニオブ酸リチウムで、この強誘電体材料とシリコン単結晶を接着した後、研磨して平面導波路を形成、波長変換効率を向上させるための加工を施しデバイスに仕上げた。
 作製した非線形光学デバイスは、光通信の波長帯である1.5μm(マイクロメートル=1μmは100万分の1m)帯で波長変換機能を示し、1.5μmから1.3μmへの波長変換効率が1%を越えることを確認している。この波長変換効率は、従来方式の約1,000倍にあたる。
 この非線形光学デバイスは、波長変換だけでなく、光で光を制御する高速光スイッチなどへも展開できるという。

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