(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA) と(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)は8月16日、衛星観測などのデータを共同で解析した結果、北極海の海氷面積が観測史上最小になったことを確認したと発表した。 JAXAは、米国の地球観測衛星に搭載されたJAXA開発の改良型高性能マイクロ波放射計「AMSR-E(アムサー・イー)」により、北極海の海氷の観測を続けている。また、JAMSTECは、北極海で船舶での観測や漂流ブイなどによる観測を行っている。 今年の北極海の海氷面積は、過去最小を記録した2005年夏を大幅に上回るベースで減少しており、8月15日の観測データを解析したところ、海氷面積は530.7万km2で、1978年から開始された衛星観測史上最小となったことを確認した。北極海の海氷は、例年9月中旬まで減り続けるため、海氷面積はさらに大幅に減少する見込みである。 今年の海氷減少の原因としては、[1]アラスカ沿岸やカナダ側の北極海沿岸でも海氷が減少し、大規模なスケールで海氷が動きやすい状態になっている。[2]このため、沿岸付近で作られた脆く融けやすい氷が北緯80度を越えて北極海内部まで広がっている。[3]脆く融けやすい海氷が融解した後、海水が太陽の日射を吸収することにより海洋の加熱が進み、さらに海氷減少を加速させている―ことなどが推定されている。 アラスカ沖では、表層海水温の温暖化が進行しており、今夏の状態は2000年以降最も高温である。北極海の氷の減少が続けば、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」報告書の予測より30年も早く2040~50年の予測値に達する可能性があるとみられている。 詳しくはこちら |  |  |
「AMSR-E」が捉えた北極海の海氷状況 上が昨年9月、下が今年8月15日の状況(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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