世界初、D中間子の粒子・反粒子の「混合現象」を観測
:高エネルギー加速器研究機構

 高エネルギー加速器研究機構は8月13日、同機構の電子・陽電子衝突型加速器「KEK Bファクトリー」を使って実験を行っている国際研究チーム(Belle実験グループ)が、中性のD中間子がその反粒子に変化する「混合現象」を、世界で初めて観測したと発表した。
 粒子が反粒子(質量が同じで電荷やその他の性質が反対の粒子)に移り変わる「混合現象」は、電気的に中性の中間子に特有の現象で、これまでに中性のK中間子とB中間子では確認されてきた。しかし、1976年に発見されたD中間子については、加速器による衝突実験や固定標的を使った実験で検出が試みられてきたが、3種類ある中性中間子(K中間子、B中間子、D中間子)のうち唯一確認できないままになっていた。
 Belle実験グループ(世界14の国と地域、55研究機関からの約400人からなる国際研究チーム)では、1999年の研究開始以来、今までに収集した実験データからD中間子が別の粒子に崩壊する過程を解析した。その結果、D中間子が崩壊する前に、その反粒子である「反D中間子」に約1%の確率で変化している混合現象を観測していたことを確認した。
 素粒子の振る舞いを説明する現在の標準理論では、この変化の現象は0.01~1%の確率で起きると予測されていた。今回の観測データは、標準理論で説明できる範囲のほぼ上限にあたる。今回の観測結果を基にして、標準理論を超える新しい素粒子物理学の理論の構築につなげていく可能性が開けるものと期待されている。
 この研究成果は、8月13日から韓国で行われた国際会議で報告された。

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