従来より数百倍高感度な総フッ素分析装置を開発
:産業技術総合研究所/ダイアインスツルメンツ

 (独)産業技術総合研究所は7月31日、(株)ダイアインスツルメンツと共同で、従来のものより数百倍高感度の「全自動総フッ素分析装置」を開発したと発表した。
 半導体やフッ素樹脂の製造過程をはじめ多くの産業分野で使用されているフッ素化合物は、環境残留性や生物蓄積性などが懸念されるため、世界的に使用量削減が望まれており、今後国際的な規制が強化される見通しにある。
 フッ素化合物中のフッ素分析装置としては、フッ素化合物を高温で燃やしてフッ素分を元素にまで還元して検出する「燃焼イオンクロマトグラフ装置」が使われているが、装置自体にフッ素樹脂部品が用いられていることなどから感度が悪く、信頼性の高い高感度分析技術はこれまでなかった。
 産総研では、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS;代表的な残留性有機フッ素化合物)など様々なフッ素化合物の問題が世界的に注目されるようになる以前から、フッ素を含む物質の問題点に着目し環境分析技術の研究を進めてきた。
 今回開発した全自動総フッ素分析装置は、既存の燃焼イオンクロマトグラフ装置をもとに、装置内やガス供給ラインからフッ素汚染の可能性のある部品を他の材質に変更するなどの改良を行ったもので、分析誤差の原因となる前処理を行わずに、気体・液体・固体試料に含まれるフッ素を、従来よりも数百倍高感度で、20分以内に測定することが可能になった。
 また、多様な環境試料や工業製品に残留する総フッ素および有機フッ素化合物の簡便迅速な高感度分析も可能となった。さらに、塩素や臭素を成分とする化合物も分析でき、今後予想される国際的なフッ素化合物の規制にも対応が可能という。
 この技術の詳細は、8月29日~31日まで幕張メッセ(千葉)で開かれる「2007分析機器展」などで発表する予定。

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