ナノ粒子を利用して反射防止機能付きレンズを量産する技術を開発
:産業技術総合研究所/伊藤光学工業

 (独)産業技術総合研究所とレンズメーカーの伊藤光学工業(株)は4月23日、大きさがnm(ナノメートル=1nmは10億分の1m)オーダーのナノ粒子を利用して反射防止機能付きレンズを大量生産する技術を共同開発したと発表した。
 開発した技術は、まず、真空装置を用いて金属ナノ粒子をレンズ金型の表面に形成する。その後、形成した金属ナノ粒子をエッチング用のマスクとして用いて金型の表面にナノ構造を形成し、反射防止ナノ構造付きのレンズ金型を作製するというもの。
 この金型を用いてプラスチックを射出成形、あるいはキャスト成形すれば、反射防止機能付き高性能レンズの大量生産が可能となる。レンズ表面にできる光の波長以下の周期を持つナノ構造によって、光が反射せずに通り抜けやすくなって反射率が下がる仕組み。
 従来レンズに反射防止機能を付与するのに必要だった多層膜コーティング工程が無くなるので、コストの大幅ダウンが図れる。
 レンズ以外の金型にも対応しやすく、反射防止機能を持つ液晶パネルや自動車のメーターパネルなどを低コストで大量生産することが可能になるという。

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左半分は反射防止ナノ構造無し、右半分は反射防止ナノ構造有り。右半分の方が明らかに反射が少ない (提供:産業技術総合研究所)