(独)産業技術総合研究所は4月25日、筑波大学、早稲田大学と共同で高脂血症治療薬の「フィブレート」がマウスの体内時計を変化させることを発見した発表した。人間の睡眠障害治療薬や時差ぼけ改善薬などの開発につながる手掛かりになるものと期待される。
研究グループは、夜行性のマウスに「フィブレート」を餌と共に与えると、通常なら夜間に限られるマウスの活動時間帯が約3時間早まって”早寝早起き型”になり、体内時計の指標となる時計遺伝子が最も良く働く時刻が3時間ほど早くなるのを確認した。
また、時計遺伝子が壊れた”夜更かし朝寝坊型”のマウスに「フィブレート」を与えたら、活動時間帯が正常化することも分かった。
「フィブレート」は、細胞核内にある「PPARα」という特異な受容体に作用して脂質代謝を改善することが知られているが、体内時計に作用するメカニズムはまだ明らかにされていない。今後、人間の睡眠などに関係する薬を開発するには、体内時計に対する作用メカニズムやフィブレート系薬剤のヒトの体内時計に対する影響の解明などが求められる。
No.2007-17
2007年4月23日~2007年4月29日