豚の背骨の数コントロールする遺伝子を発見―品種改良に朗報
:農業生物資源研究所/農林水産先端技術研究所

 (独)農業生物資源研究所と(社)農林水産先端技術産業振興センター農林水産先端技術研究所は4月19日、豚の椎骨(背骨を構成する骨)をコントロールする遺伝子を世界で初めて明らかにしたと発表した。
 豚では、胸や腰にあたる部分の背骨(胸椎、腰椎)の数に、品種により19~23個という大きな差異が見られ、椎骨の数が多くなるほど胴が長くなり、「ロース」(背肉の部分)の肉量が増すことが知られている。
 研究グループは、これまで都道府県の研究機関などと協力して、豚の品種改良を目的とした量的形質に関わる遺伝子座(ゲノム(全遺伝情報)における遺伝子の位置)の探索を行ってきた。
 今回、椎骨数の多い豚と少ない豚について遺伝的背景などゲノム情報を詳細に比較解析することにより、椎骨数の違いをコントロールするとみられる塩基対の領域(30万塩基対)を特定した。この領域は、細胞核の内部に存在する核内受容体の一種であるNR6A1遺伝子座に相当し、ここではNR6A1というタンパク質が働いていることを確認した。
 家畜に関して有用な形質の遺伝子座の検出に成功した例は極めて珍しく、今後の品種改良に役立つ画期的な発見といわれる。この研究成果を活用して改良を進めることにより、ロース肉の多い豚の品種改良のスピードが大幅アップできるものと期待されている。
 研究成果は、「Genome Research(ゲノム・リサーチ)」誌電子版で4月6日から公開されている。

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背骨の数が23個の西洋種(上)と、19個の東洋種(下)(提供:農業生物資源研究所)