単層カーボンナノチューブの安価な大量合成法を開発
:産業技術総合研究所/日本ゼオン

 (独)産業技術総合研究所と日本ゼオン(株)は2月7日、単層カーボンナノチューブの大量合成法を共同開発したと発表した。基板に従来のシリコンに代えて安価なニッケル合金を使うことにより、基板コストを100分の1に抑えて、大面積・連続生産を可能にした。
 単層カーボンナノチューブは、直径が0.4~50nm(ナノメートル=1nmは10億分の1m)という超微細なパイプ状のカーボンで、次世代のナノデバイス材料として注目されている。
 産総研の畠賢治ナノカーボンチーム長らは、2004年度に「スーパーグロース法」と名付けた世界最高の成長効率を誇る単層カーボンナノチューブ合成法を発表しているが、その製法をもとに安価な基板材料による低コスト・量産化技術の開発に取り組み、ニッケル合金を見つけ出した。
 そして、さらに、日本ゼオンと共同で大面積スーパーグロース合成炉を開発し、A4サイズ(210×297mm)の金属板上に均一な単層カーボンナノチューブ構造体を合成することに成功した。この成長面積は、従来の100倍に当たる。合成される単層カーボンナノチューブは、金属板上で垂直に起立した形で成長し、高さ(厚さ)1mmの構造体をわずか10分で形成できる。
 得られる単層カーボンナノチューブは、品質的にも優れ、炭素分99.9%以上と世界最高レベルの純度を実現した。