層状マンガン鉱床に重希土類元素が多く含まれていることを発見
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は2月8日、日本で採掘された「層状マンガン鉱床」の鉱石72試料を分析した結果、四国や北海道に分布する鉄成分に富む鉄マンガン鉱石に、希土類元素が多く含まれていることが分かったと発表した。
 希土類元素は、磁石をはじめ、様々な先端技術産業に使われているが、その90%近くが中国から供給されている。しかし、最近中国は、生産や輸出を制限するようになり、価格が高騰している。
 分析した鉱石の希土類元素含有量、特に強力磁石の原料である重希土類元素の含有量は、現在の供給源となっている中国の鉱床(花崗岩風化型鉱床)のそれよりも高い。
 また、この層状マンガン鉱床の鉱石からの希土類元素の抽出は、比較的容易で、さらにこれまで希土類元素の鉱床開発時に問題となっていたトリウムやウランなどの放射性元素をほとんど含まず、安全に処理できる利点もある。
 我が国では層状マンガン鉱床は既に終掘しているが、同様の鉱床は太平洋地域や南アフリカなど世界各地に広く分布していることから、このタイプの鉱床から重希土類元素が回収できれば希土類元素の生産を世界各地に広げることが可能になるものと期待される。