スマトラ島沖地震によるアンダマン諸島の地殻変動を確認
:東京大学/産業技術総合研究所

 東京大学大学院理学系研究科と(独)産業技術総合研究所は1月26日、2004年12月に起きたスマトラ島沖地震による地殻変動が、スマトラ島から北西に1000km以上離れたアンダマン諸島北部まで達していたことを、現地調査によって確認したと発表した。
 2004年スマトラ島沖地震は、マグニチュード9クラスの超巨大地震で、その津波によってインド洋周辺諸国に大きな被害をもたらした。アンダマン諸島では、地震波や津波の解析から断層の滑りは小さいと推定された一方で、GPS(全地球測位システム)解析や衛星写真の解析は、大きな地殻変動の発生を示していたが、地震の後の現地調査は行われていなかった。
 東京大学と産総研は、2005年3月と2006年3月にアンダマン諸島において、インド地質調査所、インド科学技術研究所と共同で現地調査を行った。その結果、アンダマン諸島北西部では、地殻変動で土地が最大1.3mも隆起し、海面下でしか生息しないサンゴ礁が海面より上に持ち上げられたために死滅していた。一方、アンダマン諸島南東部では、地震の際に最大1m程度沈降したため、満潮時には陸地まで浸水するようになった。
 隆起した地域の住民の証言によると、地震当日に下がった海面は、その後約2か月間で3割程度回復した。これらの観測から、地震時に比較的ゆっくりした断層の滑りによって隆起し、その後滑りがゆっくりと浅い方にのびて沈降したことを示唆している。
 この研究結果は、米国地球物理学連合の速報誌「Geophysical Research Letters」に1月13日掲載された。