「J-PARC」の直線加速器がビーム加速で目標値を達成
:高エネルギー加速器研究機構/日本原子力研究開発機構

 高エネルギー加速器研究機構と(独)日本原子力研究開発機構は1月24日、両機構が共同プロジェクトとして茨城県東海村に建設中の大強度陽子加速器「J-PARC」の直線加速器(リニアック)がビーム加速で目標値を達成したと発表した。
 J-PARCは、3台の粒子加速器により3段階で加速した高いエネルギーの陽子を使って色々な実験を行う世界最大級の加速器施設で、平成20年度完成を目指している。
 その第一段階の加速を行う長さ約120mの直線加速器は、非常に斬新な設計が施され、今後の世界標準として注目されている装置で、昨年11月から本格的なビーム調整試験を進めてきた。発表によると、マイナスイオン化した水素ビームを光速の約50% のスピードにまで加速することに成功した。
 今後は、さらに平均電流の所期の目標である200マイクロ(マイクロは100万分の1)アンペアの達成に向けてビーム調整試験を続け、今秋には直線加速器からのビームを第2段階の円形加速器に入射して30億電子ボルトまで加速するビーム調整試験を始める。そして、平成20年秋から中性子や中間子などを使っての利用研究を順次開始する予定という。

ビーム加速に成功した直線加速器。地下13mのトンネル内に設置されている
(提供:J-PARCセンター)