(独)産業技術総合研究所は11月9日、芝浦工業大学の協力を得て、大規模に分散している100個以上の温度・湿度センサーからのデータを無線で効率良く収集することができる大規模センサーネットワークシステムの開発に成功したと発表した。
ビルなどの構造物やプラントにおいてメンテナンスや管理のためのモニタリングシステム(監視システム)を実現するためには、数多くのセンサー類とそれらをつなぐネットワークが必要になる。しかし、施設の規模が大きくなるにつれて、センサーネットワークの規模は大きくなるため、多額の費用がかかるようになる。しかし、センサーネットワークの研究開発は、数多く行われているものの、高価なセンサー機器を20~30個程度用いた実験が実験室内で行われているに留まっており、100個以上つなぐ大規模に分散したネットワークはこれまで想定されていなかった。
今回用いたセンサーは、内蔵しているADコンバーター(変換器)によってデータをデジタルでネットワークへ転送できるので、アナログ部分に混在し易いノイズの影響が極力抑えられ、精度の高い情報が得られる。また、消費電力が非常に小さく、センサーを着けた状態で電池駆動できる。
今回開発されたシステムは、金属の多い環境や電磁波が飛び交う環境でも信頼性の高い無線通信が可能なので、大きなビルやプラントで温度や建物の揺れの計測などに使える。
No.2006-1
2006年11月7日~2006年11月13日