衛星通信利用して災害情報を伝える技術を開発
―航空機による被災状況の把握、データ化し送信
:宇宙航空研究開発機構/ナビコムアビエーション

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月27日、航空関連電子機器を製造販売するナビコムアビエーション(株)と共同で通信衛星を利用した航空機用災害情報伝達技術を開発したと発表した。航空機から発見した災害情報を直ちにデータ化、衛星経由で地上に送信する技術で、同社はヘリコプター用地図情報表示装置の機能の一部として製品化した。大規模災害時に迅速な被災状況の把握に威力を発揮すると期待される。

 

■災害地域・状況を即時に地上端末に表示

 

 JAXAは2012年から航空機の次世代運行システム(DREAMS)開発プロジェクトを進めている。新技術はその開発課題の一つである「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の一環として開発した。
 新技術では、データ通信によって衛星経由で航空機と地上とで情報をやり取りできるようになり、情報伝達の効率化や信頼性の向上に役立つ。ヘリコプターに搭載した地図情報表示装置(NMS-01S)から災害の発生地域や詳しい被災状況を直ちに送信し、地上の端末に表示することができるようになるという。
 これまで災害時には、音声による無線通信やホワイトボード等を使って情報伝達が行われていた。このために詳細で正確な地域単位の情報伝達が難しかった。また、災害時には多数のヘリコプターが同じ周波数帯を使って通信するために、混線などが起こり情報伝達の信頼性が問題となっていた。

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地図情報表示装置「NMS-01S」の運用イメージ(提供:JAXA)