(独)国立環境研究所は11月22日、世界の化石燃料由来の二酸化炭素(CO2)排出量が2009年は史上二番目の308億tに上り、排出削減量は前年比1.3%減にとどまったと発表した。地球規模の炭素循環に関する国際研究計画「グローバルカーボンプロジェクト」が発表した報告書の内容を明らかにしたもので、削減量は予測されていた2.8%減を大きく下回った。
世界経済は、金融危機に見舞われたものの各国のGDP(国内総生産)の減少が世界全体では予想以上に小さく、GDP当たりのCO2削減も期待したほど進まなかったことが原因とみられている。
グローバルカーボンプロジェクトは、地球環境変動に関する複数の国際共同研究計画を母体に2001年に発足、日本の国立環境研究所(茨城・つくば市)と、オーストラリアに事務局が置かれている。
報告書では、世界全体のCO2削減が予想を下回った背景として、経済活動の中心が中国やインドなど新興国にシフトした点をあげている。先進国では、CO2排出量を日本が11.8%減、米国6.9%減、英国8.6%減としたのに対し、GDPが前年比9.1%伸びた中国はCO2排出量も8%増となり、インドも6.2%増を記録した。
国立環境研究所グローバルカーボンプロジェクトつくば国際オフィスのソバカル・ダカール事務局長は「新興国のGDPは継続して増加傾向にあり、それがCO2排出を増加させている」と話している。
一方、土地利用の変化によるCO2排出量は、熱帯雨林の伐採の減少や温帯地域の森林再生の拡大などにより予測値よりも低く抑えられ、改善したという。
No.2010-46
2010年11月22日~2010年11月28日