(独)国立環境研究所は12月1日、世界金融危機の影響で2008~09年にかけて減少していた世界の二酸化炭素(CO2)排出量が2010年に前年比5.9%増と、再び増加に転じたと発表した。CO2の大気中濃度は、389ppm(1ppmは100万分の1)となり、過去80万年で最も高い水準を記録した。金融危機からの一時的な回復局面に入り、先進国のCO2排出量が増加に転じ、中国などの新興経済圏の排出量が急増したことが原因という。
今回発表したのは、地球環境変動に関する複数の国際共同研究計画を母体に2001年に発足した国際研究計画「グローバルカーボンプロジェクト(GCP)」がまとめた報告書の内容。昨年発表した同様の報告書では、2009年における世界のCO2排出量について、予想された2.8%減には達しなかったものの、前年比1.3%減とマイナスになっていた。
これに対し2010年には、中国、米国、インド、ロシア、欧州連合(EU)のCO2排出量増加が大きな影響を与え、CO2排出量の削減は一時的なものにとどまったという。この点について国立環境研究所GCPつくば国際オフィス事務局長のソバカル・ダカール博士は、「世界金融危機は世界経済をCO2大量排出への道から引き戻す機会であったが、実現されていない」と指摘している。
No.2011-48
2011年11月28日~2011年12月4日