J-PARCセンターと(独)科学技術振興機構(JST)、大阪大学は7月22日、中性子ビームを高効率で集光することができるミラーを共同開発したと発表した。
このミラーを使うと、中性子ビームの強さをミラーを使用しない時の50倍以上にすることができるという。
中性子は、陽子と共に原子核を構成する中性の粒子。束状になって進む中性子のビーム(中性子ビーム)を集光して照射すればX線照射では調べるのが困難な水素などの軽い元素や磁気を持った物質を調べることができる。
新開発のミラーは、nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の精度で加工された石英ガラス製の基板上にニッケル炭素(NiC)とチタンの多層膜を形成し実現した。このミラーで中性子ビームを集光すれば、ハードディスクなどの記憶媒体上の磁気構造をnmレベルの分解能で解析できるという。
また、高温・高圧下の微粒子内に含まれる水の原子配列などを調べることも可能になり、地球深部の構造研究などに役立つものと見られる。
No.2011-29
2011年7月18日~2011年7月24日