(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月20日、2008年6月から実施していた超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の基本実験を終え、同日開かれた宇宙開発委員会に実験結果を報告したと発表した。通信網システムの有効性を実証できたとしている。 「きずな」は、将来のインターネット通信の超高速化、大容量化を視野に、世界最高水準の高度情報ネットワークの形成を目指してJAXAと(独)情報通信研究機構が技術、機器類を共同開発し、2008年2月に打ち上げた実験衛星。実験は、両機関それぞれの基本実験と、総務省が公募した利用実験からなり、当初予定の5年間よりも1年数ヶ月以上短い期間で基本実験を終了した。 「きずな」は、直径45cm程度の小型アンテナを家庭に取り付けると最大毎秒155メガ(メガは100万)ビットの受信と同6メガビットの送信が、また企業などが直径5m級のアンテナを設置すると最大毎秒1.2ギガ(ギガは10億)ビットの超高速双方向通信ができることを目標に開発した。この技術目標については、実験開始後まもなく達成を確認した。 また、▽筑波大学とタイ、マレーシアの大学の3地点間を結んで遠隔授業を行うマルチキャスト実験、▽東日本大地震被災県への回線提供支援、▽デジタル・デバイド(情報格差)解消を目標とした離島診療所と支援病院間の放射線画像の伝送や遠隔医療の実験-などを実施し、いずれもシステムの有効性を実証することができたという。 JAXAは、今後成果の普及や利用の拡大に努めたいとしている。
詳しくはこちら
|
.jpg) |
超高速インターネット衛星「きずな」(提供:宇宙航空研究開発機構) |
|