次期小型ロケット「イプシロン」の発射場、内之浦に決定
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月12日、平成25(1013)年度の試験機打ち上げを目指して開発を進めている次期小型ロケット「イプシロン」の発射場を鹿児島県肝付町の同機構内之浦宇宙空間観測所(鹿児島)に決めた、と発表した。
 同観測所は、わが国初の人工衛星「おおすみ」や小惑星探査機「はやぶさ」など、多くの科学衛星や惑星探査機などを打ち上げてきたが、平成18(2006)年の「M5(ミューファイブ)」ロケット引退後は同所での衛星打ち上げは行われていない。
 内之浦宇宙空間観測所がイプシロンロケットの発射場に選ばれたのは、同ロケットがM5ロケットと同じ固体燃料式ロケットなので同射場が活用でき、種子島宇宙センター(鹿児島)の液体燃料式のH-ⅡA/Bロケット射場に固体燃料式ロケットの射場を新設しなくて済む、などの点からとみられる。
 イプシロンロケットは、小型の科学衛星をチャンスを狙ってタイミング良く、低コストで、できるだけ数多く打ち上げるためにJAXAが開発している衛星打ち上げロケットとしては小型のロケット。基本形態は、直径約2.5m、高さ約25m、重さ約90tの3段式固体燃料ロケット。目標とする衛星打ち上げ能力は、250~600kmの地球周回低軌道なら1,200kg、500kmの円形の太陽同期軌道なら450kg。
 イプシロンロケットは、システムとして衛星打ち上げ体制が素早く整えられるよう、ロケット搭載系の点検は機上で自律的に行うようにするなど、万事をパソコン1台で済むように仕組み、1段目ロケットの射座据え付けから打ち上げ翌日までの射場作業期間が7日間、衛星最終アクセスから打ち上げまで3時間、を目指している。これにより、M5ロケットと比べると打ち上げ能力は3分の2に下がるものの、打ち上げ費用は3分の1程度に縮小され、コストパホーマンスが向上する。

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イプシロンロケットの想像図(提供:宇宙航空研究開発機構)