(独)産業技術総合研究所と(株)ノリタケカンパニーリミテドは7日、共同で炭素の筒が2重になった2層のカーボンナノチューブ(超微細な筒状をした炭素分子)を高含有率で合成することに成功したと発表した。 2層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブの持つ高い電気伝導性、柔軟性と、多層カーボンナノチューブの持つ電気的・熱的安定性を併せ持つ新しいカーボンナノチューブで、薄型ディスプレーなどへの応用が期待されているが、触媒などの不純物や、単層と多層カーボンナノチューブが同時に生成するため、高純度で含有率の高い2層カーボンナノチューブの合成は難しかった。 産総研は、単層カーボンナノチューブの合成法の一つであるで「スーパーグロース法」と呼ばれる水分添加CVD(化学的気相成長)法をもとに、触媒の膜厚のみを制御するという単純な手法により、2層カーボンナノチューブが基板上に垂直に立った状態でできる新合成技術を開発、世界で初めて基板上に厚さ2. 2㎜の垂直に配向した2層カーボンナノチューブを成長させることに成功した。触媒の膜厚を制御することで2層カーボンチューブの含有率を制御でき、85%という世界最高レベルの2層カーボンナノチューブ含有率の垂直配向体を得ており、ディスプレー用の電極上に直接成長させることにも成功している。 今後、生産の効率化と製造の低コスト化を図り、バッテリー駆動が可能な低消費電力型のカーボンナノチューブディスプレーを数年で開発する計画という。 |
|
No.2006-1
2006年11月7日~2006年11月13日