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マンガンノジュールの分布場所と面積が分かる探査法を開発―南鳥島周辺で四国と九州足した広さの密集域見つける:千葉工業大学/産業技術総合研究所ほか

(2019年12月11日発表)

 千葉工業大学、(国)産業技術総合研究所、東京大学、(国)海洋研究開発機構、神戸大学の共同研究グループは1211日、深海底の鉱物資源「マンガンノジュール」が広い海底のどこに分布するのかを地図上に示すと共に、その面積を正確に算出することのできる探査手法を開発したと発表した。広大な深海底を探査でき、これまでに実施した研究航海で南鳥島の周辺に四国と九州を足した面積にほぼ匹敵するマンガンノジュール密集域があることを突き止めたという。

 マンガンノジュールは、マンガン団塊とも呼ばれる深海底にある有用金属を含んだ塊のこと。マンガンのほか、エレクトロニクスや金属産業などさまざまな分野に必要不可欠なレアメタル(希少金属)のコバルト、ニッケルを多く含んでいる。今ノーベル賞で注目を浴びているリチウムイオン電池には、コバルトやニッケルがいる。

 このため日本でも調査が進み、既に南鳥島周辺などの排他的経済水域(EEZ)内でこの次世代鉱物資源の“鉱床(こうしょう)”が見つかっていて、実際に水深5,000mを越す深海底からサンプルを採取して成分の解析などが行なわれている。

 しかし、海上保安庁が発表している日本のEEZ面積は約447万㎢(領海を含む)と広く、そのどこにマンガンノジュールが眠っているのかとなると、まだあまり分かっていない。

 今回の探査法はそれを明らかにできるのではと期待されるもので、船から下に向け発した音波を海底が反射する様子を解析し、広い深海底のどこにマンガンノジュールが分布するかを地図上に示すと共に、その面積を正確に算出することができる。

 研究では、この探査手法を使って本州からおよそ1,800km離れた日本の最東端に位置する南鳥島の周辺のEEZ5回にわたる研究航海で調査しているが、四国と九州を併せた面積にほぼ相当する約61,200㎢に及ぶエリアがマンガンノジュール密集域であることが分かった。

 この探査手法ではマンガンノジュールの密集域にどの程度の量のレアメタルが存在するのかを直接知ることはできないが、採取したサンプルを化学分析した結果と開発した面積算出法とを組み合わせればレアメタルの総量を精度良く算出できるといっている。