筑波大学は1月5日、岩崎洋一学長の平成21年の年頭に当たっての所感を発表した。
岩崎学長は、その中で「将来に不安があり、不透明感がある今のような時こそ、知の拠点である大学の果たすべき役割は大きい」と大学を位置付け、「これまでのような狭い学問領域に留まることは許されない」ことを強調している。岩崎学長の年頭所感要旨は、次の通り。
2009年年頭の世界情勢を見るに、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機、経済不安は日本をも直撃し、企業業績は急激に悪化、深刻な雇用情勢にある。また、環境問題、エネルギー問題、食料問題など、解決しなければ人類の存続を揺るがしかねない地球規模の問題にも直面している。
短期的には緊急事態として、学生の就職問題、留学生の生活の問題があり、キメ細かい迅速な対応が必要である。
人類が安心して生活していける世界的システムの構築や、地球温暖化の解決などには知の集結が必要であり、これまでのような狭い学問領域に留まることは許されず、知の構造化、知の統合化、さらに、未来を担う人材、未来を切り拓く人材の養成が強く求められている。
このように大学が担うべき責務は非常に重大であり、社会からも強い期待が寄せられている。その一方で、日本の高等教育への公の財政支出は先進諸外国に比べて非常な低水準に留まっている。こうした状況を踏まえ、大学人としては外に向かって高等教育への投資が未来への重要な投資であると言い続けると共に、大学自らが大きく変革して行く必要があると考えている。
法人化6年目を迎える今年前半の重要課題は、次期中期計画の策定である。厳しく、激動する現代における高等教育は如何にあるべきか、原点に立ち返って今一度問い直し、筑波大学の特色・強みを踏まえた将来像を構想、その中で次期中期計画を策定する必要があると考えている。
No.2009-1
2009年1月5日~2009年1月11日